グリーンインフラレンディングのバイオマス案件を調査してみた
目次
こんにちは。健伍です。
連日のグリーンインフラレンディング騒動でバタバタしておりました。
来月以降の見通しに触れたあと、バイオマス案件の調査結果を公開します。
■今後の見通し(推測)
〇8月分配分も供託されるだろう
最新のJCサービスのお知らせで言及されている「当月末の返済」とは、グリーンインフラレンディングのmyページのカレンダーにある返済日7/31のことを指していると考えられます。
ちなみに次回の返済日が7/31で、分配日は8/9です。
8/9はmaneoがまだ金融庁統制下ですので、前回同様法務局に供託されることでしょう。
来月の供託で全投資家の投資総額の10%を超える見込みです。
たこ足になっていないことを祈ります。
〇JCサービスとmaneoのプロレスは続くでしょう。
来月も供託の経緯の見解の違いについて、引き続きプロレスをするでしょう。
金融庁統制下のmaneoの説明会で、足並みが揃っていることを明言していたようですので、心配しなくて良さそうです。
ただ、説明会でmaneoがJCサービスの財務状況を把握できていないという発言もありましたので、気になるところです。
今週再び説明会がありますので、ぜひ参加される方は再度質問をお願いしたいです。
〇近いうちに大型案件がExitするだろう
説明会で特にバイオマス案件に関して、早期のExitを匂わす発言があったようです。
グリーンインフラレンディングの返済実績一覧に「事業性ローンデフォルト発生金額推移」という欄ができたのもその一環だと思われます。
現在、全案件が延滞となっています。
8/9に貸付前だった資金の償還が行われます(対象者のみにメールで通知済み)ので、新たに「償還済」という欄ができると思います。
少しずつ売却が進み、「償還済」の金額が積みあがっていくか注視しましょう。
■グリーンインフラレンディングのバイオマス案件を調査
〇はじめに
さて本題です。
グリーンインフラレンディングのバイオマス案件を調査してみました。
JCサービスはプロジェクト毎にSPC(特定目的会社)を設立しています。
JCサービスと同住所の会社を調べると、大量に「合同会社○○」が出てきます。
メガソーラーと思われる会社もいくつかあります。
今回は「合同会社○○(地名)バイオマス発電所」という社名をピックアップします。
この他にも「合同会社○○号」というSPCも出てきますが、地名入りではないので今回は取り上げません。
バイオマス関連で具体的な地名入りのSPCを列挙すると以下のようになります。
以上20件が出てきました。
結構ありますね。日本全国に散らばっている印象です。
合同会社は大量にありますが、現在開発中の案件は400MW(50MW×8件)だという言及がmaneoの説明会であったようなので、ここから8件程度に絞ります。
しかし、前述の通り、地名を冠さないSPCもありますので、上記20社に含まれない開発案件がある可能性は大いにあります。
例えば、グリーンインフラレンディングには関東地方のバイオマス案件がありますが、上記20件には関東地方の地名はありません。
以下の経済産業省エネルギー庁で公開されている再生可能エネルギー電子申請一覧を照会しつつ、案件の特定をしてみます。
https://www.fit-portal.go.jp/PublicInfo
ここから各都道府県のファイルをダウンロードし、「バイオマス」でフィルタをかけて探していきます。
※太陽光でフィルタをかければ、グリーンインフラレンディングの太陽光案件も調査できますね。
先ほどの合同会社20社の地名も参考にします。
わたしの推測ではタイから木材を輸入するため、海沿いエリアに発電所を設けると想定しています。
この時点で自動的に海に面していない8県は除外されます。
(群馬、栃木、埼玉、山梨、長野、岐阜、滋賀、奈良)
さらにバイオマス発電のFIT制度以降の稼働した発電所一覧というリストも参考にしました。
エネルギー庁の電子申請一覧よりは見やすいかもしれませんね。
〇グリーンインフラレンディングの案件にあてはめた結果
グリーンインフラレンディングのバイオマス案件8件を特定してみました。
間違っている可能性もありますので、ご参考程度に。
①東海地方 50MW その1
設立当初はBPC株式会社と同一住所でしたが、昨年8月にJCサービスと同一住所に変更されているという情報があります。
BPC株式会社(日本)とSiam Steel International(タイ)の子会社間でバイオマス事業の業務提携 - 産経ニュース
こちらのBPC株式会社はタイの企業とペレットの輸入に関して締結しています。
JCサービスと事業が酷似していますね。
グリーンインフラレンディングのファンドと照合すると、事業用地は38,200㎡です。
http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/270303.pdf
サミット半田パワー株式会社の敷地面積かなり近い数値です。
しかし、サミット半田パワーは既に稼働しています。
よって、BPC株式会社が関わる半田バイオマス発電合同会社と判断しました。
②東海地方 50MW その2
事業会社:CEPO半田バイオマス発電株式会社
実は、東海地方にはもう1件、50MWの案件があります。
電子申請一覧を見る限り、発電事業所名が中部電力の子会社である株式会社シーエナジーとなっているものもあります。
株式会社シーエナジーとフルハシEPOが共同出資するCEPO半田バイオマス発電株式会社が運営するようです。
中部電力|シーエナジーによるバイオマス発電事業への参画について - プレスリリース(2017年)
完成は2019年9月です。
これはグリーンインフラレンディングのファンドの期限に概ね一致します。
【第2弾】グリーンインフラレンディング1周年記念ローンファンド(第16次募集) | グリーンインフラレンディング
バイオマス発電の設備は既に発注済みです。
CEPO半田バイオマス発電株式会社向けバイオマス発電設備の受注について|2017年度|ニュース|タクマ
東海地方の2件に関しては、他ブログ様も言及されていました。
いずれもかなり確度は高いです。
③東北地方 50MW
関連会社:鳥海南バイオマスパワー株式会社
株式会社オリンピアが設立したSPCです。
所在地は遊佐町ですが、酒田市に非常に近く、酒田港にも近いです。
2020年10月稼働予定です。
おそらくJCサービスが設立したSPC、合同会社山形酒田バイオマス発電所が関わっているのではないでしょうか。
同じ50MWで酒田市には住友商事系のサミット酒田パワーもあります。
しかし、こちらは稼働が今年の8月の予定となっているため、鳥海南バイオマスパワーではないかと判断しました。
※こちらの可能性も大いにありますが。
敷地面積を比較してみました。
グリーンインフラレンディングに掲載されていた数値:46,561㎡
鳥海南バイオマスパワー:50,000㎡
サミット酒田パワー:約4.4ha(=44,000㎡)
鳥海南バイオマスパワーを良く調べると進捗状況の確認ができません。
さらに敷地面積をグリーンインフラレンディングではわざわざ細かい数値を用いています(他の案件は「約」を用いてぼやかしているものが多いです)。
敷地面積だけではサミット酒田パワーの方が数値が近いような気がしています。
サミット酒田パワーは2018年8月の稼働予定です。
となると、JCサービスから真っ先にExitするのはサミット酒田パワーではなのでしょうか?
JCサービスが来月の供託に自信を示しているのは、サミット酒田パワーのExitがわかっているからではないかと思いました。
しかし、グリーンインフラレンディングのファンドの運用期間をよく見ると、2020年までとなっています。
鳥海南バイオマスパワーの運用開始は2020年以降となっています。
やはり鳥海南バイオマスパワーのような気がしてきました。
④北海道地方 50MW
関連会社:石狩新港新エネルギー発電合同会社
シンエネルギー株式会社が設立したSPCです。
北海道で50MW級で稼働前のものはここしかありません。
使用燃料に木質ペレットとありますので、JCサービスが関わっている可能性があります。
2020年に稼働予定です。
※他にも50MW級のバイオマス案件は、苫小牧のものがありますが、これは既に稼働しています。
⑤関東地方 100MW
関連会社:かみすパワー
関東地方で100MW級は少ないです。
かみすパワーは茨城城県神栖市にあった100MWに近い案件です。
丸紅と関西電力によって開発されており、今年10月から稼働予定です。
かみすパワー/丸紅・関西電力/茨城県奥野谷浜工業団地 | 石炭発電所ウォッチ
こちらは該当する合同会社(JCサービスのSPC)は特定できていません。
もしかしたら、千葉県市原市の同一区画で開発している、市原バイオマス発電株式会社及び市原グリーン電力株式会社の複合案件かもと思い調査してみました。
※同一区画でそれぞれ50MWずつの申請ではないか…と。
市原バイオマス発電株式会社は伊藤忠系で稼働は2020年の予定です。
「市原バイオマス発電所」起工式を挙行|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社
しかし、市原グリーン電力株式会社は2013年から稼働しています。
https://www.mes.co.jp/gpw/company/history/
よって、JCサービスが関わる案件ではないと判断しました。
⑥北陸地方 50MW その1
事業会社:新エネルギー開発株式会社
北海道地方の案件で出てきたシンエネルギー株式会社とは別物です。
どうやら新日本サービス株式会社の子会社みたいです。
新日本サービス株式会社 プロジェクトマネージャー(80526635)の求人情報|転職エージェントのパソナキャリア
こちらの求人を見ると、仕事内容に高岡市でのバイオマス発電に関するプロジェクトマネジメントと書かれています。
■バイオマス電気発所の建設~運営までのプロジェクトマネジメント業務を担って頂きます。※建築予定地:千葉県(市原市)・茨城県(鹿島市)・富山県(高岡市)・鳥取県(境港市)・沖縄県(うるま市)
詳しいスケジュールは不明ですが、求人を見る限り、案件は存在していますね。
エネルギー庁の電子申請一覧にも高岡市の案件は掲載されています。
稼働日は不明です。
JCサービスと接点があるかはわかりかねました。
⑦北陸地方 50MW その2
北陸地方にはもう一案件あります。
北陸地方の50MW級の案件を探すと、富山県射水市でオリックスが開発していると思われる案件が見つかりました。
http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00000866/01028441.pdf
着工が2020年、稼働予定は2022年です。
JCサービスのSPCは合同会社富山射水バイオマス発電所が該当するでしょう。
⑧九州地方 100MW(どうやら終了している!)
所在地が東京都港区新橋4丁目24番3号エム・エフ新橋604号になっています。
ただこれといった決定打があるわけではありません。
100MW級の稼働前の発電所をしらみつぶしに探しました。
株式会社ブルーエコノミー・ホールディングス: TOKYOカオスエリアコレクション(TCC2)
新門司バイオマス発電所1合同会社は株式会社ブルーエコノミー・ホールディングスが立ち上げています。
株式会社ブルーエコノミー・ホールディングスは詳細がほとんど出てきませんが、自民党の代議士山本幸三氏が代表取締役に就任していたこともあるようです。
一方で、 ブルーバイオフューエル・ジャパン株式会社が新門司バイオマス発電所合同会社を立ち上げています。
以下から確認できますが、新門司バイオマス発電所合同会社が事業会社になっています。
http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/308870_53233701_misc.pdf
ただし、事業用地の面積が大きく異なります。
グリーンインフラレンディングは【第9弾】バイオマス発電ローンファンドが該当しますが、事業用地は約10万㎡となっています。
【第9弾】バイオマス発電ローンファンド(第9次募集) | グリーンインフラレンディング
しかし、新門司バイオマス発電所1合同会社の計画を見ると、敷地面積は64,000㎡(うちプラント用地が34,200㎡)となっています。
http://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000770097.pdf
グリーンインフラレンディング側の計算間違いの可能性もありますね。
ちなみに同じく100MW級である、響灘エネルギーパーク合同会社は2018年7月稼働予定ですが、念のため、事業用地の面積を確認してみます。
こちらはオリックスが関わっています。
どうやら168,800㎡みたいですね。
やはりグリーンインフラレンディングの数字とかい離しました。
http://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000696901.pdf
グリーンインフラレンディングの【第9弾】バイオマス発電ローンファンドをよく読むと、デューデリジェンス(調査)に用いる資金を募集しています。
しかし、この案件は既に終了しています。
追加の投資案件もなかった気がします。
つまり、調査はしたものの開発に至らなかったのでしょう。既にクロージングしている案件です。
新門司のバイオマス発電について検索しても、進展している情報が出てこない理由がこれですね。
九州地方の案件は凍結されたと判断しました。
もしかしたら鹿児島の七ツ島バイオマスパワーかもしれないと思っていたのですが、50MWなんですよね。
これで関東のみ100MWですが、グリーンインフラレンディングのバイオマス案件は7箇所で合計400MWとなりました。
果たしてどれだけ合っているのか…。
いずれにせよ、開発は進んでいるようですね。
■おわりに
バイオマスだけでも7箇所もあるので、売却にはやや時間がかかりそうです。
そしてJCサービス自体が発電所を最後まで作り上げる案件はないと確認できました。
なぜなら全ての案件の事業主体(JCサービスの売却先で、発電所を運営する会社)がいるからです。
maneoの説明会では「権利、土地、港をセットにして売るビジネスモデル」と話したようです。
その通りですね。
今回調べた全7案件はバイオマスのFIT権利が確認できましたし、港の近い土地が確保されています。
JCサービスがタイの事業者とペレット材の輸入を契約しているので、燃料の調達も可能です。
JCサービスのビジネスは、権利の申請、土地の取得及び整備を行い、発電所を建設できる状態(案件によっては建設費用を払って見守ってそうですが)にして、事業主に買い取ってもらうというものです。
東海地方のように開発が進んでいる案件もいくつかあります。
ここからは推測です。
maneoの説明会で「JCサービスは早期売却に動いており、返済に自信がある」という話が出るのも、Exitできる見通しが立てやすいこのビジネスモデル故なのでしょう。
JCサービスは我々投資家から集めた資金はしっかり使い切り開発し、買い取ってもらうということでしょう(JCサービスさん、そこんところお願いします…)。
発電所を運営する会社は既に決まっているようですので、バイオマス案件は売却先探しに奔走することはない気がします。
今後の進展に期待したいものです。